室蘭は幼い頃何度か訪れたことがあり、その頃からだいぶ寂れている印象だった。海風の塩分が街を錆びさせているんだと親が言っていたのを覚えている。
室蘭は鉄の街だ。現日本製鉄の輪西製鉄所がある。湾になっており、砂鉄や鉄鉱石を運び込み、鉄を運び出すのにちょうど良い土地になっているそうだ。言うまでもなく道内の石炭も鉄道で運び込まれていた。
太平洋戦争の軍需、高度経済成長期の鉄鋼需要で室蘭の街は非常に賑わったようだ。室蘭の喫茶店パーラーサトウでも賑わっていたころのお話を聞くことができた。
寂れた室蘭の今を見るため、新千歳空港から電車で向かった。
終着室蘭で列車を降りた。
室蘭駅前すぐに商店街がある。かなり立派な商店街だが、シャッターがおりている店が多い。
商店街は南北に若干の高低差があり、南側の山に向かうほど徐々に高くなる。南側には太めの通りが走っており、雪国にありがちな屋根付きの商店街となっている。ここもシャッターが閉まった店が多い。
喫茶店のマダムが言うには、人口が減って商売がうまく行かなくなったところ、店主の高齢化によって店を畳んでしまったところが多いそう。
もう一度北のアーチのある商店街に戻る。
スナックも多く、繁華街であることがわかる。「更生相談所」の隣には「その筋の者のお達し」が書かれた居酒屋がある。更生とは程遠い存在に思えるが、これも社会の必要悪として組み込まれていたことが伺えおもしろい。
帰り道、夕日に当たる商店街がとてもきれいだった。パーラーサトウのような素敵なお店ももちろんあり、店によっては若い人が集まってもいた。
夕飯にはやきとりを食べた。室蘭の鉄関係の労働者を支えたと言われる室蘭やきとり。やきとりとは言うが豚肉である。美唄の炭鉱周辺で食べられた美唄やきとりは鳥の内臓を使ったものだったので、鉄関係の労働者の羽振りの良さを感じる。
この後幕西遊郭跡に向かいました。