いっぴきこあらの大冒険

ロードバイクで鄙びた集落を巡るブログ

【北海道】 室蘭 純喫茶 パーラーサトウが最高だった

寂れた街としても名高い室蘭を散策した際に、たまたま入った純喫茶「パーラーサトウ」が最高でした。

室蘭の商店街や幕西遊郭跡、輪西を訪れるのがメインイベントだったのに、パーラーサトウが良すぎて室蘭一番の思い出になりました。そこで早速記事にしたいと思います。

maps.app.goo.gl

パーラーサトウは室蘭駅前の商店街の一角にある純喫茶です。

パーラーサトウ(深夜営業に向け準備中)

 

僕はお昼に訪れました。本来は深夜営業のお店ですが、たまたま常連さんが来てたので開けていたとのこと。この喫茶店の主であるマダムの計らいで入れていただきました。

入った瞬間にその空間のすばらしさに心打たれました。照明がおしゃれでかわいい。隅々まで凝られていて、きれいな空間です。おしゃれですがとても落ち着きます。

パーラーサトウ内装

奥にはカウンター席が。テレビではマダムの好きな猫のドキュメンタリーが流れている

照明も凝っていてとてもかわいい

ため息が出るほどいい空間でした

最近はネットでも有名になっているということで、それを見た若い子が札幌などから来てくれるとよろこばれていました。

営業中ではなかったにも関わらず、わざわざすべての照明をつけていただきました。

「いろんな角度から写真をたくさん撮ってね」とマダムに言われたため、落ち着いてたくさんの写真を撮ることができました。色合いがとてもよく、照明もかわいいものが多いので写真を撮るのがとても楽しい。

普段はお客さんが入っており、こんなに写真は撮れないそうなのでとても運がよかったです。

この天井の照明は珍しいもので、人気らしい

お花の照明がとてもかわいい

驚いたのは食器がかわいいのはもちろん、その置き方まできれいなことです。お一人で切り盛りされているとは思えないほど美しい。とんでもないセンスを感じてしまいます。

食器の置き方にまで美しさを感じます

 

お店の節々からお客さんに愛されているのを感じます。50周年お祝いの花束、マダムが好きな石原裕次郎のポスター、たまたま出てきたというオープン時の新聞紙の広告記事などすべてお客さんが寄贈してくれたものだそうです。

マダムの好きな石原裕次郎のポスターはお客さんが寄贈してくれたもの

オープン時(1973年)の広告記事はお客さんがたまたま見つけ寄贈してくれたもの

お散歩中の犬もマダムに会うために寄り道するらしい

昨年までお店には猫がいたらしいです。皆からとても愛されていて、晩年、マダムのかわりにお客さんが遠くの病院まで車で連れて行ってくれることもあったそう。

お店が愛されるのもよくわかります。空間がとても良いのはもちろんですが、マダムの人柄が一番の要因だと思う。

お客の話を相槌を打ちながらじっくり聴いてくれ、話したくなります。傾聴という言葉が似合います。もちろん、マダムの方からも様々なお話もしてくれそのバランスが心地よいです。

コーヒーをいただきながらマダムとお話することになりました。

コーヒーもおいしかった。このあとカウンターに移動してもう一杯いただいた

このお店には色々な人が来るらしい。オープンしたときは室蘭がとても賑わっていたとと。小路にはスタンドバーが必ずあって、たくさんの人が入っていたとおっしゃられていました。スナック街もあり、新日鉄、日鉱、ドックの人などが仕事から帰り、シャワーを浴びて遊びに出かけていたらしいです。映画館や本屋もいくつかあり、街の娯楽の中心地だったそうです。

そのころから、人口は半分以下になったそうです。当時はこの繁栄がずっと続くと思っていた、こんな風に寂れるとは思わなかったとおっしゃっていました。

人が減って商売が厳しくなったが、商売をやっていて楽しい思い出がたくさんあるとのことです。わざわざ再訪してくれる人も多くうれしいと。再訪する人の気持がわかる。

 

マダムの自然なお人柄も魅力の1つなのだろうなとあの短時間でも感じました。例えば、「次来たときは、あのときの者ですとエピソードとともに自己紹介してね、そしたらきっと思い出すから」と言われました。たくさんの人が訪れる喫茶店。たまたま来たお客の1人など自分なら覚えられない。そのことを受け入れつつも、希望を持たせてくれる。優しさを感じました。

また、石原裕次郎について疎い私にも、「若い子はあまり知らないよね。けど私は好きでね。」と非常にちょうどいい距離感で接していただけました。

 

僕も「妻と」また来ますと勝手に言って別れました。最後はお店の外まで送っていただきました。

 

この空間はマダムのお人柄も含め本当に素晴らしいのでぜひ行っていただきたいです。そして、ご無理はなさらずできるだけ長くこのような空間が残ることを願っています。