ストリートビューを適当に眺めていたらとてつもなく良い町並みを見つけてしまった。
ということで岐阜の郡上八幡に行くことにした。
町のことを調べていると、どうやらここはさくらももこが好きだった街らしい。僕はさくらももこのエッセイが大好きだ。ちびまる子ちゃんも好きでよく読んでいる。
「岐阜県に郡上八幡という小さな町がある。
私はこの町が大好きだ。観光地としては地味なほうかもしれない。何か歴史的な建造物や景色などがたくさんあるわけではない。 町の脇をきれいな川が流れ、町中をきれいな水が走り、町のいたる所できれいな水が飲めるように水飲み場がある。郡上八幡は水自慢なのだ。オオサンショウウオも住んでいるほどその水はキレイだ。
当然アユもいる。ウナギもおいしい。山の上には郡上八幡城が見え、このしみじみとした町並みは城下町のせいなんだなと改めて思う。 郡上八幡は、ちょっと観光地だけどみんな別に観光客を期待せずに日常生活を送っている。そこに美しい自然や町並みがあってもそれが普通なのだ。そんな感じが好きな人にはたまらなく良いと思わせる町だ。もちろん、私もたまらなく良いと思っている。
春には『郡上八幡春まつり』というかなりストレートな名称の祭りがあり、桜の頃の町がざわめく。夏には『郡上おどり』という祭りが何日間も行われ、町はひとつのウェーブとなり力強い盛り上がりを見せる。秋は吸い込まれそうな青空と紅葉の中に身を置き幸せを感じ、冬は真白い雪を見ながらしし鍋を食べる。この町を嫌いだと言う方が難しい。謙遜しても『日本によくある普通の城下町だけど私は好き』と言うのが精一杯だ。
このように一方的に郡上八幡を愛し、頼まれてもいないのに勝手にキャラまで考えてみた。
本当にこの通りだと思う。さくらももこや、そのエッセイを目指している朝井リョウ、仲が良いオードリー若林、CreepyNutsのDJ松永。みんな「ナナメ」のものの見方をしていて親近感を覚えてしまう。さくらももこは僕らの師匠とも言える。
郡上八幡には長良川鉄道で向かった。長良川鉄道は昔、国鉄の越美南線だった第三セクターだ。
うるさいディーゼル車、油の匂い、そしてカチカチの垂直ボックスシートに乗る。始点の美濃太田から終点北濃まで乗ると2時間。考えるだけでもげっそりする。そんな車両に1時間半乗った。ボックスシートに四人で座る地元の高校生の姿は良かった。
郡上八幡に着いた。駅前にはさくらももこが考案したキャラクター「GJ8マン」が出迎えていた。
郡上八幡の駅前の喫茶店に入りモーニングをいただく。どうしても地元の店に入るのは楽しい。常連と店員さんの会話に聞き耳をたててしまう。
喫茶店から歩いて元城下町の方へ向かう。越前美濃街道の旧道を進む。
旧道沿いには自分の好きな町並みが広がっていた。景観保全区域のように建物が整っているわけではないが、所々に歴史を感じる建物が、ちょっと古い建物に混ざって並んでいる。中には洋風の建物もあり多様性がある。
新町通りと書かれたゲートをくぐると城下町の中心に近づく。
郡上八幡はその昔、「小京都」旅行ブームで訪れる人が増えたと聞いた。バブリーな雰囲気が残っているのはその影響だろうか。確かに昼頃には観光客の姿もあった。
所々に水路があり、水飲み場が設置されている。
最も印象に残った水路は、「いがわ小径」周辺の水路だ。家々の間の細い隙間を流れており、奥では水路が立体交差する姿を見ることができた。夏には鯉に餌をあげることもできるらしい。
ここから郡上八幡の裏道に入っていく。